目標売上高とは??

中小企業金融円滑化法が平成25年3月末日を持って終了する。この法令は、金融機関への返済猶予や返済条件の変更を政府として積極的に応援することにより、中小企業の倒産防止を狙い行われた方策であった。この3月をもって当制度が終了する。この制度、金融庁の調べでは30万~40万社がこの制度を利用したと言われている。

これらの企業、もちろん返済猶予に当たり提出した経営改善計画等がうまくいっている企業であれば、今後も新規の借入を狙うことも可能かもしれないが、容易にこの制度を利用し、猶予期間中に抜本的な改革をできていない企業が多数なのではないかと思う。そう考えると、今後の銀行対策は非常に厳しくなると予想せざるを得ない。

例えば、毎年返済原資を200万円(つまり税引後利益)を創出している会社が、2,000万円の借入を有していたとした場合、単純に考えて返済には10年の月日を要する。つまり返済期限が10年以内に到来する場合には、借増し又は借換えを検討しておかなければならない状況である。

この会社の最低目標売上は果たしていくらにすべきなのか。役員報酬はいくらにすべきなのか。通常の会社でよく耳にする言葉として、景況が厳しい中前年比110%を目指そう!前年比120%を目指そう!ということは出てくる。ただ、その売上げで本当に借入返済原資となる税引前利益を出すことができるかまで考えているのだろうか。

私は、税理士という職業柄「利益は何のためにあり、いくら必要なのか」という点をよく考えることがある。利益は未来への投資原資であり、返済原資であり、会社の維持原資である。そうなれば、目標となる売上高は必要な利益から算出されるのではないかと考えた。必要な利益とは、来年の投資「設備投資・人材投資(新規採用)」や返済・維持原資の総計で計算される。ここまでできれば、必要な税金・固定費用・限界利益率等により逆算することで、会社として最低必要な売上高を把握することができる。

必要な売上を超えるのであれば、その超えた部分の利益が役員報酬の原資であり、従業員に対する決算賞与といわれるものに化ける。また、必要売上に達しないのであれば借入や資本注入を必要としているとみることができる。

経営計画は売上から作るものではないのではと考える。売上目標を作ることは架空の数字を作ることになるため、絵に描いた餅になりやすく計画の意味自体も疑問を持ってしまう場合が多くなる。逆に今必要な利益をもとに組み立て、最低売上を把握することも非常に重要ではないのかと考えますし、社員の目標設定にしてもなぜこれだけの売上が必要なのか、説明の可能性が広がり、より明確な動機づけになるのではないでしょうか。

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