『直近借入がある場合のリスケジュールの事例』…リスケジュールのポイントを紹介します。

関与先様の紹介で来所されたA社の事例です。資金繰りが厳し
いとのご相談でしたが、決算から11か月が経過しているにも
関わらず、試算表を作成していなかったため、明確な状況を把
握出来ませんでした。ヒアリングによると、「今月末の資金が
不足しており、一応B銀行に融資を申し込んでいる」ことが判
明しました。
しかし、必要な資金の額を把握しなくては、果たして新規の融
資を受けるべきか、リスケジュールをするべきかが分かりませ
ん。よって、大まかな利益状況を調べることにしました。
利益状況を調べている最中に、「B銀行から2,000万円の
融資がおりたので借入をする。」との連絡が社長からありまし
た。まだ調査中でしたが、その時点で、足元の赤字が1,000
万円以上になっていることは確実で、さらに毎月の約定返済額
300万円を考慮すると、本当に2,000万円で足りるかは
疑問でした。しかし、B銀行の融資は数日後に実行されました。
その後、完成した資金繰予定を確認すると、2,000万円の
融資を受けたうえで、翌々月には資金がショートすることが判
明しました。現状の利益では、新規融資は見込めませんので、
リスケを依頼するしかない状況です。
社長は、「B銀行だけ返済して、その他の銀行をリスケすれば
良いのでは?」とおっしゃいますが、リスケジュールは、すべ
ての債権者に平等に対応しなくてはならず、特定の借入だけを
返済することはできません。足元の状況を調べなかったB銀行
にも落ち度はありますが、返済できないことを分かっていて、
融資を受けたと取られると、心証面でこじれてしまい、リスケ
ジュール全体に影響を与える懸念が生じます。
そのような状況の中、メインの銀行、サブの銀行、日本政策金
融公庫の順にリスケの依頼を行いました。どちらの金融機関も、
「他行も同様の条件であればリスケジュールに協力します。」
という返事でした。協力的な姿勢ではありましたが、「他行も
同様であれば」という条件付きです。もし、B銀行がリスケに
応じない場合は、法的整理も視野に入れなくてはなりません。
最後にB銀行と面談してリスケの意向を伝えたところ、担当者
は感情をあらわにして、不動産売却による返済を迫ってきまし
た。たった1回しか返済していない状況でのリスケの依頼です
ので、担当者が怒るのも当然です。しかし、不動産は売却代金
を資金繰りに充てようと考えていたため、担保も内入れも応じ
られないとお断りすると、ついに「何とかしてもらわないと困
る。」と泣きついてきました。上司からも相当責められている
ようです。
協議した結果、担保余力のない不動産に2番抵当をつけること
で最終的にリスケに応じてもらえました。これにより、無事に
すべての金融機関でリスケの承認を得ることができました。
リスケジュールは全金融機関の足並みを揃えなくてはなりませ
ん。一行でも反対があると難しくなりますので、慎重に進める
必要があります。直近借入があるなど、懸念材料がある場合は
事前にご相談ください。

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