『CLO融資について』…財務内容の良い企業にしか案内されない融資商品です。

銀行の融資といえば、証書貸付が一般的です。しかし、融資の
種類は他にもあります。有名なところで、売掛債権を譲渡する
ファクタリング、在庫等の資産を担保にするABL等がありま
すが、本日は、CLO融資についてご説明します。

CLOとは、Collateralized Loan Obligationの略で、金融機
関が持っている貸出債権を証券にしたものです。金融機関が持
つ貸出債権を証券化して投資家に売却すれば、投資家は金利収
入を受け取ることができ、銀行は信用リスクを投資家に移転し
たうえで手数料収入を得られるというメリットがあります。

ただ、実際にCLOを発行するのは殆どが地方自治体等です。
地方自治体は、銀行にリスクのないCLOを組成して参加銀行
を募り、銀行を通じて地域の中小企業に資金を提供することで、
地域経済の活性化に繋がることを目的としています。

■以下は日本政策金融公庫が平成29年3月に発行したCLOの
 概要です。

◆CLO発行日:平成29年3月3日
◆CLO発行額:248.03億円
◆当初貸付債権総額:257.48億円
◆貸付社数:1,009社
◆地域金融機関:七十七銀行、清水銀行、但馬銀行、東日本銀
 行、みなと銀行、福岡中央銀行、飯能信用金庫、朝日信用金
 庫、西武信用金庫、諏訪信用金庫、富山信用金庫、金沢信用
 金庫、大阪信用金庫、大阪シティ信用金庫、姫路信用金庫、
 西中国信用金庫、愛媛信用金庫、長野県信用組合(計18機関)
◆A号社債134億円(AAA):機関投資家が購入
◆B号社債92.03億円(BBB-):日本政策金融公庫が購入
◆C号社債22億円(AA+):機関投資家が購入(C号社債は日
 本政策金融公庫が元利金を全額保証)

参加金融機関で実行された公庫のCLO融資は、リスクの度合
いによってA号、B号、C号に分けられて証券化されています。
信用度合いの低いB号社債については、日本政策金融公庫自身
が購入しており、また、C号社債についても日本政策金融公庫
が全額保証をしています。日本政策金融公庫が大きなリスクを
負担していることが分かります。

「上記の金融機関と取引があるけれど、CLOの提案など受け
たことがない。」という社長様もいらっしゃるかもしれません。
CLOは、銀行がリスクを取っていないため、信用リスクの高
い企業に対しても融資ができるのではないかと考えられがちで
すが、実際には反対です。優良な債権でなければ地方自治体等
が大きな損失を被りますので、銀行は、財務内容が良好な融資
先だけに案内をしています。

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