『リスケ中の資金調達について』…別の銀行に全額肩代わりと新規融資を依頼するのが得策です。

リスケジュール中は、原則新規融資を受けることができません
ので、新規融資を受けるためには、一旦リスケジュールを解消
する必要があります。

ひとつの方法として、新しい借入でリスケジュールをしている
借入を一括完済するという方法がありますが、新しい借入れを
申し込む金融機関は、今現在リスケジュールを依頼している金
融機関ではなく、別の金融機関に依頼するのが得策です。最近
取り組んだ事例をご紹介します。

■A社の事例

【借換え前】
・X銀行より約1.5億円の借入
・リスケジュールにより毎月50万円の返済

【借換え後】
・Y銀行にて1.5億円肩代わり+新規融資2,000万円を実行
・毎月返済額117万円

A社は数年前からリスケジュールをしていますが、足元の業績
が回復し、年間1,000万円程度の返済が可能な状況になりまし
た。また、受注の幅を拡げるために新たな人材を雇用したいと
考えており、資金調達が必要になったことも、正常化に踏み切
った要因です。

当初A社の社長様は、長年お付き合いのあったX銀行から新規
融資を受けたいと考えていました。しかし、X銀行の答えは、
「まずは返済を正常化して欲しい。新規融資は正常化して数か
月間様子を見た後に検討したい。」というものだったようです。
正常化を行う目的は新規融資を受けることですので、もし融資
を受けられなかった場合は、「正常化して返済額が増えただけ。」
となってしまいます。社長様は思い悩んで弊所にご相談に来ら
れました。

リスケジュールとは、元々の約束通りに返済ができていない状
況です。銀行は約束を守ってくれなかった相手に対して、追い
貸しをすることは非常に慎重になりますので、X銀行の対応は
至極当然です。

ただ、おかしな話ですが、X銀行ではすぐに新規融資を検討す
ることができなくても、X銀行以外の銀行だったらすぐに新規
融資を検討することができます。他行から見れば、リスケ先で
はなく、単なる新規先であるためです。これまでの経緯は関係
なく、純粋に今後1.5億円+αの返済が可能と判断できれば、
融資を実行することができます。

弊所にてお付き合いのあるY銀行に相談したところ、事例でご
紹介した通り、15年返済の新規融資で1.5億円の肩代わりと、
2,000万円の新規融資を実行してもらえました。さらに、返済
を正常化したことで、日本政策金融公庫からも1,000万円の追
加融資を受けることができました。

誤解のないように説明しますと、X銀行の対応が悪かったとい
うことではありません。X銀行から見れば、A社はリスケジュ
ール中の要注意先であり、一方、Y銀行から見ればA社は1.7
億円の新規見込み先です。対応が違うのは当然のことです。

金融機関にとって、リスケジュールがある先に正常化と同時に
新規融資を行うことは大変困難なことです。いたずらに銀行同
士の借り換え合戦をあおるつもりはありませんが、正常化と同
時に資金調達を行う場合は、自社を魅力的な新規見込み先と捉
えてくれる別の銀行に相談するのが得策です。

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