『創業して破たんしないために…』…今の力に不相応な創業は総じて失敗します。

 
■資金余力がほとんど無い計画を立てて、その計画通りに執行
すると、短期間で破たんする可能性が高くなります。
 
○例)
自己資金数百万円、創業融資600万円~800万円(自己資金を
勘案すると、通常はこれが創業融資の限度額です。)、総事業
予算約1,000万円の事業体が、この総予算をすべてつぎ込んで
デスバレーを越える計画を立案した時、その売上が計画を下回
れば途端に経営危機に陥ります。
自己資金数百万円、創業融資600万円~800万円、総事業予算
約1,000万円の事業体は、数百万円以上の余力を残して立ち上
がる計画を立案すべきです。売上の進捗が計画に対して遅れた
時に、この余力資金でリカバーすることができます。
 
○そもそも、創業1期目に、計画通りの売上を作れるケースは
稀です。極端に保守的な計画を立てれば別ですが。
成功者の大半は「紆余曲折を経て、何とか事業が立ち上がった」
と言っています。当初に想定した「仮説」通りに事業は立ち上
がらない、この達観が必要です。
 
◆創業事業計画に対する誤解とは…
第20期目の会社が第21期目の計画を立案した時、その計画
はよほどの冒険でもしない限り、10%も狂わないはずです。
第3期目の会社が第4期目の計画を立案した時、その実現の蓋
然性には、まだまだ多くの疑問が残っています。
創業時に作成する創業1期目の創業事業計画書の精度は?大き
な疑問が残ります。当然です。創業事業計画とはそのようなも
のです。それでも、大きな指針・目安として必要です。この目
安とのかい離を確認しながら事業を進めるために必要です。
創業事業計画書は、絶対に必要ですが、鵜呑みにしてはいけま
せん。
 
■大きな自己資本を有していない創業者が大きな事業をやりた
いなら、二段階、三段階で事業を成長させてください。
○例)
自己資金が数百万円の創業者は、総事業予算1,000万円程度の
事業しか立ち上げることができません。まずは、この範囲で事
業を軌道に乗せる計画を作って実現してください。第一ステー
ジが軌道に乗った時、次の資金調達を行って第二ステージをク
リアしましょう。このステージアップを経て、あるレベルを超
えた時、エクイティー資金(社長が望むなら)の調達も視野に
入ってきます。飛躍を狙うのはこのステージです。
○小資本しか持ち合わせていないが、大きな資金調達ができれ
ば短期間で成長できる、故に資金調達を行いたい…このような
考えは稀有な幸運と実力を持ち合わせたほんの一握りの人たち
のみに通用する論理です。一般的ではありません。
※ベンチャーキャピタルは、将来性も当然ですが、一定以上の
実績を待ち合わせた事業体に出資します。実績の無い計画書に
出資するケースはほぼ無いと考えてください。
 
◆エクイティー資金(ベンチャーキャピタルからの投資)に関
する誤解とは…
ベンチャーキャピタルは…
1.
計画書には原則出資しません。小さな成功実績に出資します。
この小さな成功に、大きな資金をつぎ込むことで、時間と規模、
競合との差別化を買うための出資です。
※計画書に出資する事例は、あくまでも推測ですが、日本国内
で年間数例以下でしょう。
2.
短期間に大きく成長できる蓋然性が出資の条件です。イメージ
は、最長5年ぐらいで、純利益が数億円以上、この純利益がそ
の後さらに大きく伸び続ける事業に出資します。
 
■今の力相応に創業しましょう。
大きな野望を捨てる必要はありません。望むのなら、十年後・
二十年後に成し遂げればよいのです。
ただし、今は、今の力相応の事業に取り組みましょう。
○自己資金(自分の力や縁で調達できる資金)が数百万円なら、
創業融資を最大限行って、総事業予算1,000万円位の事業を立
ち上げましょう。まずは、このステージをクリアすることです。
○自己資金(自分の力や縁で調達できる資金)が5千万円準備
できるなら、それ相応にスタートすればよいでしょう。
 
◆今の力に不相応な創業は総じて失敗します。
今、力がないのに大きなことをやりたい、これは間違えです。
無いものねだりです。経営者としては失格です。
大きなことをやりたいが、今はお金がないので、力相応の小さ
な成功を積み上げて、最終的には大きなことを成し遂げる、こ
れが正解であるはずです。
大きな、大き過ぎると思われる夢を捨てる必要はありません。
ただ、未来の大きな夢と現実を、はっきりと区分けして創業し
てください。
 

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